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やっぱり海が好き!

日本 世界2位のアイルランド撃破!盛り上がるラグビーワールドカップ! 迫りくるチェス・レイモンドカップ!その① 「理不尽な出会い」の巻

こんにちは、halukaです。

 

速 報!

ラグビーワールドカップ日本大会。

世界ランキング9位の日本代表は、9月28日、

静岡エコパスタジアムでの1次リーグ・グループA第2戦で、

世界ランキング2位の強豪アイルランドを19ー12で破って、

歴史的な勝利を飾り、開幕2連勝。

初戦で勝ち点5を獲得していた日本は、

アイルランド戦の勝利で勝ち点4を加えて、

暫定ながら1次リーグA組トップ。

ラグビーワールドカップ、ますます盛り上がりますね。

アイルランド代表チームとファンの皆さまに

敬意を表します。

 

時を合わせて私は、近々、

チェスのレイモンドカップに挑む事になりました。

本日は、その序章をお送りいたします。

 

その夜、私には何かしら、よほどいい事があったのでしょう。

バーの壁に掛かった、

薄型ディスプレイに映し出される歌詞を目で追いながら、

酔客で混み、もはや通路と化したフロアで、

心の支えにしているほど好きな1曲「Maria」を、

流れるメロディに揺れながら上機嫌で、

カラオケのマイク越しに歌っていました。

1年に1度、やるかやらないかの阿呆パフォーマンスです。

 

無事に歌い終わって、おそらく私は満足し、

オンザロックウイスキーを飲み残していた、

カウンターの自席に戻りました。

 

「背が高い」「背が低い」などという形容を、

どの程度の基準で申し上げれば適当なのか、

その見当は私には、付きませんが、

アイロンの効いた白いワイシャツに、

深い色合いのネクタイを締めたその男性は、

少なくとも私より背が高く、

手も足も笑顔も私より大きく、

そして、私より若くも見えました。

 

私が席に戻ると、その男性は、

「You have a good voice」と、控え声でひと言。

(おぬし、いい声してんじゃん!)

 

アルコールが入った夜の事です。

まあ、世辞だと構えて、

「Do you think so?」と尋ねると、

(そうかいな?)

 

「Yes」と、大きな目をくりくりさせてにっこり。

(そうともよ!)

 

「Oh,Thank you, but I don`t think so」と私が控え返すと、

(いやいや、ありがたいけど、おいらはそうは思わねえな)

 

彼はにやりと笑って、

自分のグラスに手を伸ばしていました。

 

その夜、

私はもう十分にアルコールの洗礼を受けていました。

「さあ、もう帰ろう」。

そう決心した帰り際、

私は、そのネクタイの紳士に向かって、

「Where are you from?」。

(でさ、どっから来なさった?)

 

「New York!」。

(ニューヨークでんがな!)

 

「Oh,good city,Okay, good-night, Mr.New York!」と、

(お! そりゃまた、いいね。おやすみよ、ミスター・ニューヨーク)

 

私は手を振り、そう言い残し、シンプルに帰路に就きました。

 

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互いに名も知らず、もちろん、再会する手はずもない、

刹那のやり取り。

それが、発端です。

 

私のその記憶も薄れかかった頃、

まったく手筋の違う人の脈に沿って立ち寄った、

初めてのバーで、私たちは再会しました。

 

ミスター・ニューヨークは、バーテンダーとして、

その店でカクテルシェイカーを振っていました。

 

「おやっ?」という顔つきで、こちらに視線を向けるので、

私は、ちぎれて飛びそうな記憶の糸をたどり、

ようやく、「Mr.New York?」と、朧気に尋ねました。

彼は「Thank you!」と、笑顔で酒を供してくれました。

 

以来、数カ月。

バーテンダーは、

「Bar」と「Tender」の複合語だと言います。

(酒場)(世話人? なんと訳せば良いですかね)

 

その名の通り、私たちは、酒を共にしながら、

いろいろな事を話し合いました。

家族について。

スポーツについて。

人種差別について。

恋愛について。

神や仏について…

 

そうして、ある晩。

彼「へい!おぬし、チェスは出来るか?」

私「いや、知らん。触ったこともない。全然わからん」

彼「ちょっと、やろうぜよ」

私「いや、だから、わからんて」…

 

得意満面の彼と、そっけない私。 

結局、私は、

ネイティブスピーカーのマシンガントークによる導きで、

盤の向きから駒の役目や並べ方、果ては負け方、勝ち方まで、

彼の指導を仰ぎながら、四苦八苦。

けれどやがて、ある晩、「その時」は来ました。

初めての自力の1勝を挙げそうになったのです。

 

深夜、コロナビールを片手に

「チェック」「チェック」「チェック」…と攻めて、

ついに「チェック メイトだ」と私がほくそ笑んだ、その時。

   (やったぜ、王手だ!)

 

彼は、宣言しました。

キャスリング!」。

1コマずつしか動けないはずのキングが、

いきなり2コマ横に滑り

さらに、盤の一番隅に居たルックが、

キングを飛び越して、キングが居た王座まで、

一気に3コマ横っ飛びして来たのです。

「え? きゃ、きゃさりん?」

 (だれだよ、それ?) 

 

その頃、私たちは既に、

「I`m a winner!」

(ほい、おいらの勝ち!)

 

「You are loser!」

(おぬしの負けな!)

などと互いにふざけ合い、たたえ合っていた仲です。

そこに謎の美女「きゃさりん」登場。

(正しくは『キャスリング』)

 

記憶もおぼろげな理不尽な出会いの末に出会った謎の美女、

「きゃさりん」。

「あ々、私は、その娘を、知らない…」。

 それは、彼が私を本気にさせた瞬間でした。

 

あっけに取られた私は翌日、

謎の美女の正体を知るべく、

街角の書店で、

「初心者がいきなり強くなるチェスの本はありませんか?」と、

渡辺暁(わたなべ・あきら)氏の名著、

「ここからはじめるチェス Chess(ナツメ社)を買い求め、

来たる「2019 第1回レイモンドカップ」に向け、

虎視眈眈と、勝利の女神の背中を追い始めたのでした。

 

ここからはじめるチェス

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