サーフィンを始めたばかりの頃。
とにかくなんにも出来なかった。
まず、沖に行けない。
パドルができないのだ。
パドルするために、サーフボードに腹ばいになるんだけれど、
波の上でサーフボードに腹ばいになれない。
腹ばいになろうとすると、1秒で落っこちるのだ。
波に揺られて、沖で波待ちしている人の姿がかっこよかった。
サーフボードに腰座りして。
ようやく、波の上で腹ばいになれるようになって、
はあはあ言いながら、パドルして、沖に出た。
さて、波待ちしようとするけれど、
今度は、波待ちができない。
波の上で、サーフボードに腰座りできない。
腰座りしようとすると、また、1秒で落っこちるのだ。
一つ壁を越えたかと思っていたら、
すぐ、次の壁。
そう。
完全になめていた。
「すぐできる、あんなの」って。
雑誌を買って、DVDを何度も見た。
日の出前に目を覚まして、海に向かった。
DVDで見た通りに…やっぱり出来ない。
テイクオフなんて夢だった。
で、思いついた。
バリ島に行けば、きっとうまくなる。
冷静に考えれば、そんな安直な話はないが、
その時は、そう思い込んだ。
行くぞ、バリへ!
で、行ってみた。
毎日、ビーチに出た。
日に日に日焼けしただけだった。
そう。
バリに行くだけでは、当たり前だが、
いきなり上達したりはしないのだった。
経験にはなったかな。
物事はなめてかかっては、いけない。
さあ、帰国しよう。
燈台下暗し。
うちに帰れば、車で20分の海にいい波がある。