こんにちは、halukaです。
写真集「あの海の日」。
(ピエ・ブックス・2006年4月初版第1刷発行)
幾度もページをめくり返しながら、
それでも、
出来るだけ傷むことのないようにと、
書棚に大切にしまい込んでいる写真集が、
何冊かあります。
「あの海の日」は、
そんな写真集のなかの1冊。
千葉県浦安市出身の写真家、
野寺 治孝(のでら・はるたか)氏による、
「海」をテーマにした写真集です。
潮騒を奏でる、落ち着いた、
海の情景が静かに、
そして色鮮やかに収まった1冊。
2001年7月発刊の写真集「海の日」の続編で、
全編を「海」と「空」が覆います。
オアフ島。
マウイ島。
竹富島。
石垣島。
ビンタン島。
ハワイ。
沖縄。
オーストラリア。
千葉・浦安…
ノースショア。
ワイキキ。
コンドイビーチ。
川平。
東京湾…
そこに写し込まれているのは、
透明感あふれる青と蒼と緑、そして白。
人影は極力抑えられ、
自然が織りなすグラデーションが、
耳に届くはずのない潮騒とともに、
視界に飛び込んできます。
おそらくは、
何百カット、
何千カットとシャッターが切られた中から、
選び抜かれた、ワンカット、ワンカット。
彼方で、
海と空を「青」で切り分ける水平線。
その「青」に浮かぶ真っ白な雲。
古びた桟橋と遠浅の砂浜。
波打ち際に続く砂道。
時が止まったかのように切り取られた波形。
寄せる白波にたたずむ海鳥。
オレンジに、あるいは紫に染まる海辺の夕焼け。
海底のリーフが透けて見える静寂の海。
【写真AC】
造形物や静物と違って、
自然の在りようを被写体とした風景写真は、
「同じものは、二度撮れない」と言われます。
だからこそ、せめて、
その場所に足を運んでみたい。
製本された写真集にインスタ映え、
はないかもしれませんが、
波が描くグラデーションを指先でなでると、
乾いた紙質が、
なぜか柔らかくも感じます。
「こんな景色が、毎朝、窓から見えたらな」。
欲張りな憧れを、
1ページ、1ページが運んでくれる。
そんな1冊です。