halukaブログ

やっぱり海が好き!

サントリーウイスキーのグラスが重力を忘れるとき

重心の低いグラスが好き。

一口めは、少しハードなほうがいい。

指先が、グラスの重心を感じ取る。

知らず知らず、何杯かを飲み尽くす。

最後の一杯も、少しだけ濃いめのほうがいい。

指先が、重心を感じなくなっている。

いつの間、なんだろう。

そのかすかな強弱を味わえるように飲む。

一日を終えて、ひととき、そんなふうに憩(いこ)う。

今夜の友は、サントリーの角瓶。

琥珀(こはく)が、バーのカウンターライトに静かに溶ける。

BGMは、再結成のクリーム。

添えのチョコポッキーと飲みかけのビールグラスが、

ほんの少しだけ、時間を止めてくれる。

今だけ。ほんの少しだけ。優しげに。

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R&Bが続き、ボブ・ディランが歌う。

「答えは、風の中」だと。

きのう、会った人のこと。

今日、うまくいかなかったこと。

明日、終えなければならないこと。

まるで、中身があってはいけないような、

そんな約束でもあるかのような、

たわいのないやりとりを重ねながら、夜が更けゆく。f:id:halukablue:20180630012116j:plain

一人で落ち着ける場所を見つけるのは、簡単じゃない。

簡単じゃないからこそ、見つけたら、大切にしたい。

その場所でなら…

きのう、会った人のこと。

今日、うまくいかなかったこと。

明日、終えなければならないこと。

全部、ひととき、忘れてしまえる。

背負っている荷物を、刹那(せつな)、

背から降ろす。

踏ん張っていた脚を伸ばして、弛緩(しかん)を味わう。

そんな場所。

だれだって、何かを背負ってる。

人に見せられない荷物もある。

背負っていなければいけないけれど、

ほんの刹那、それを、背負いきれない夜だってある。

許してくれる場所があるなら、大切にしたい。

大切にしていい。

「優れた登山者ほど、休息の大切さを知っている」。

いつか、本でそう、読んだ。

気のおけないオーナーと小さく響くBGM。

琥珀だったサントリーの角瓶が、

少しずつ、透き通って見えてくる。

帰りのときを気づかせてるんだ。

いつの間、なんだろう。

背中が軽くなって、話も弾んでる。

明日、どんな高い山でも登れる気がする。

「休息を取ろう」。

そう思えるだけで、気持ちが楽になる。

琥珀が秘めている力。

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ボブ・ディランが歌う。

リピート。

「答えは、風の中」。

重心が低いグラスを指先で持ち上げる。

氷の乾いた音がする。

今夜、必要だった分は、胸を満たした

グラスは、そして重さを忘れる。

今夜は少し、蒸す。

うちに帰って、熱いシャワーを浴びよう。

そして、ゆっくりと眠る。

よし!

明日も一日、張り切る!